20年ぶりの再会――60歳から始めたYouTube

― 「続けること」が、新しい出会いにつながった ―

前回、私が最初に出版したジュニアレッスン本について書きました。

その本を一緒に作っていただいた編集者のNさん。

当時はもちろん、その方との縁が20年以上経ってから、もう一度私のゴルフ人生に大きく関わってくるとは思っていませんでした。

今回は、その再会から始まったYouTubeへの挑戦について書いてみたいと思います。

Facebookに出てきた懐かしい名前

ある日、Facebookを見ていると、懐かしい名前が目に入りました。

Nさんでした。

最初の本を作ってから、すでに長い年月が経っていました。

「懐かしいな。今は何をされているんだろう」

そう思い、私からFacebookを通じて連絡をしてみました。

するとNさんから、出版業界も時代とともに変化し、今では紙の出版だけではなく、動画の編集など映像に関わる仕事もしているという話を聞きました。

それなら一度会って話をしましょう、ということになり、当時私がアカデミーとしてレッスンをしていた墨田区のスタジオで再会しました。

「動画で伝える」という新しい方法

Nさんと話している中で、特に印象に残ったのが、情報の伝え方が大きく変わってきているという話でした。

それまで私は、本や雑誌など紙を通じてゴルフを伝える機会を多くいただいてきました。

しかし、これからは動画で発信する方法がある。

その代表的なものがYouTubeでした。

当時の私もYouTubeを見ることはありましたが、自分自身が発信する側になるという感覚は、あまり持っていませんでした。

ところがNさんの話を聞いているうちに、

「動画だったら、本とは違う形でゴルフを伝えられるかもしれない」

と思うようになりました。

ゴルフスイングは「動き」です。

クラブがどう動くのか。

身体をどう使うのか。

どんなリズムで振るのか。

本では文章や写真を使って説明してきましたが、動画なら実際の動きをそのまま見てもらうことができます。

そんな話をNさんにすると、

「じゃあ、やってみましょう」

ということになりました。

こうして、60歳を過ぎてからの新しい挑戦が始まりました。

カメラに向かって話す難しさ

いざ撮影が始まってみると、最初は戸惑うことばかりでした。

人にレッスンすることには長く携わってきましたが、カメラに向かって話すことはまったく別のことでした。

「どう話せばいいんだろう」

「間違えたらどうしよう」

そんな私にNさんが言ってくれたのが、

「新井さんらしくやってください」

という言葉でした。

そして、

「失敗しても大丈夫ですよ。動画は編集できますから」

と。

Nさんがリラックスして撮影できる雰囲気を作ってくれたことで、私も少しずつカメラの前で話せるようになりました。

考えてみれば、私がジュニアレッスンの頃から大切にしてきたのも、

「楽しくなければ続かない」

ということでした。

最初の本を一緒に作ったNさんが、20年以上経った今度は、私自身が新しいことを楽しく続けられる環境を作ってくれました。

最初は、目の前のお客様のためだった

YouTubeを始めた時、たくさんの人に見てもらおうとか、登録者を増やそうということは、それほど考えていませんでした。

一番に考えていたのは、普段レッスンを受けてくださっているお客様のことでした。

レッスンの時には理解できても、時間が経てば忘れてしまうことがあります。

それは当然のことです。

それなら、練習に行った時や自宅にいる時にYouTubeを見てもらえば、

「ああ、こういうことだったな」

とレッスンを思い出してもらえるのではないか。

そんなところからスタートしました。

最初の頃には、中学生の頃からレッスンしていた女子プロを目指す女性にも協力してもらいました。

まだ飛距離が十分ではなかったので、飛距離を伸ばすプロジェクトを作り、私自身がドラコンに挑戦した経験もあったことから、彼女自身もドラコンに挑戦する過程を動画にしました。

その後は、ゴルフ経験があまりなかったジャンさんにも協力してもらい、初心者がどのようにゴルフを始め、インドア練習場で何を練習し、どのようにスイングを覚えていけばいいのか、といった内容も発信しました。

「一人でやってみよう」

撮影を続けるうちに、私自身も少しずつ慣れてきました。

ただ、当時の私は一人で話すことはほとんどありませんでした。

誰かと二人で撮影した方が会話になりますし、私自身もその方が話しやすかったからです。

ところが、ある時、

「一人でやったらどうなるんだろう」

と思いました。

そこで今度は、一人でカメラに向かって話すことにも挑戦してみました。

しかし、その頃のYouTubeは、登録者数も再生回数もそれほど伸びていませんでした。

最初は自分のお客様に見てもらうために始めたので、それでも構わないと思っていました。

ただ、続けていくうちに、

「もっと多くの人に伝えるのであれば、このままでいいのだろうか」

という気持ちも出てきました。

撮影して、内容を考え、発信し続ける。

それを続けても、なかなか数字は伸びない。

正直、

「一度、YouTubeをやめようかな」

と思った時期もありました。

「大事なのは、続けることです」

そのことをNさんに相談しました。

その時に言ってくれた言葉を、私は今でも覚えています。

「新井さんには、いろいろな経験があります。本も出しているし、話し方もだんだん上手になって、発信できるようになっています」

そして、

「大事なのは続けることです。何が皆さんに受け入れられるかは、やってみないと分かりません」

というようなことを言ってくれました。

その言葉を聞いて、

「それなら、もう少し続けてみよう」

と思いました。

もし、この時にやめていたら、その後の出来事はなかったと思います。

一本の動画が変えてくれたもの

その後、私が一人で撮影した一本の動画が、それまでとはまったく違う反応をいただくことになりました。

再生回数が大きく伸び、それとともにチャンネルを登録してくださる方も増えていきました。

もちろん数字が伸びたこともうれしかったのですが、それ以上に私が感じたのは、

「自分が伝えていることを、会ったことのない人にも受け取ってもらえるんだ」

ということでした。

私は本を書いていた頃から、できるだけゴルフを難しくせず、分かりやすく伝えたいと思ってきました。

ジュニアを教えていた頃も同じでした。

それを動画という新しい方法でも伝えられる。

そこで初めて、YouTubeというものの可能性を実感しました。

YouTubeを見た方が、レッスンに来てくれた

さらにうれしかったのが、YouTubeを見た方から、

「レッスンを受けたい」

という問い合わせをいただいたことでした。

最初に連絡をいただいた時のことは、今でも覚えています。

自分が画面に向かって話していたことが、どこかにいる誰かに届いていた。

そして、その方が実際に会いに来てくださった。

これは本とはまた違った、新しい経験でした。

その後も動画の発信を続け、ショート動画については、自分で撮影して発信することも覚えました。

今では約1万5千人の方にチャンネルを登録していただいています。

そして現在のTRUE1 Golf Academyにも、YouTubeを見てレッスンに来てくださる方がたくさんいらっしゃいます。

70歳でも、80歳でも「もっと飛ばしたい」

YouTubeを見て来てくださる方には、私と同世代、あるいは私より年上の方も多くいらっしゃいます。

遠方から来てくださる方もいます。

関西から来てくださった方。

栃木県から定期的に通ってくださる方。

70代、80代になっても、

「もう少し上手くなりたい」

「もう少し飛ばしたい」

という気持ちを持ってレッスンに来てくださる方がいます。

そんな皆さんをレッスンしていると、教えている私の方が、改めてゴルフの素晴らしさを教えていただいているような気がします。

年齢を重ねても、まだ上手くなりたいと思える。

まだ飛ばしたいと思える。

そしてナイスショットが出れば、いくつになってもうれしい。

ゴルフは、本当に長く夢を持ち続けられるスポーツなのだと思います。

人との縁が、次の挑戦を連れてきてくれた

もし、あの日FacebookにNさんの名前が出てこなかったら。

もし、懐かしいと思いながらも私から連絡をしなかったら。

私はYouTubeを始めていなかったかもしれません。

そして、やめようと思った時に、

「大事なのは続けることです」

と言ってもらえなかったら、今まで続いていなかったかもしれません。

最初のジュニアレッスン本を一緒に作った人との縁が、20年以上経って再びつながり、今度はYouTubeという新しい世界への入口を作ってくれました。

そしてYouTubeを続けたことで、今度はそれまで会ったことのなかった全国のゴルファーとの新しい縁が生まれました。

60歳を過ぎて始めたYouTube。

始めた時には、今のような形になるとは想像していませんでした。

ただ一つ言えるのは、

新しいことを始めるのに、遅すぎるということはないのかもしれない。

そして、すぐに結果が出なくても、続けているからこそ見えてくるものがある。

これはYouTubeだけではなく、ゴルフにも通じることなのかもしれません。

私自身、まだ新しいことへの挑戦の途中です。

そしてこれからも、ゴルフをできるだけ分かりやすく、そして楽しく伝えていきたいと思っています。

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