前回、カルロス・フランコ選手のキャディを約1年間務め、そのスイングを間近で見続けた経験について書きました。
彼のスイングを見て、私の中で少しずつ変わっていったことがあります。
それは、
「身体をどう動かすか」だけではなく、「クラブがどう動いているのか」を考えるようになったことです。
フランコ選手のターフを見て感じたこと
フランコ選手のショットを間近で見ていて、私がとても印象に残っていることがあります。
それが、アイアンショットを打った後のターフの形でした。
私には、彼のターフが扇形のように見えました。
もちろん、ターフの形だけでスイングの良し悪しを判断できるという話ではありません。
ただ、毎日のように彼のショットを間近で見ていた私は、
「自分とはクラブヘッドの動き方が何か違う」
と感じるようになりました。
フランコ選手は背が高く、腕も長い選手でした。
手元の位置が低く、低いボールも非常に上手に打つ。
そして、力でクラブを振っているというより、クラブヘッドの重さを上手に使いながら、流れるように振っているように私には見えました。
そこから私は、身体の形だけを見るのではなく、
「クラブヘッドはどう動けばいいのだろう?」
ということを、以前より考えるようになりました。
「クラブの重心で振る」という考え方
その後、レッスンプロの永井延宏プロが書かれた、クラブの重心についての本を読む機会がありました。
そこで私が興味を持ったのが、
「クラブヘッドではなく、クラブの重心を意識する」
という考え方でした。
ゴルフクラブは、シャフトの延長線上にクラブヘッドの重心があるわけではありません。
その構造によって、スイング中にはクラブが自然に開閉しようとする動きが生まれます。
それまで私は「ヘッドをどう動かすか」ということを考えていました。
しかし、この本を読んだことで、
自分でヘッドを動かそうとするのではなく、クラブが本来持っている動きを利用することができないだろうか。
そう考えるようになりました。
私の中で、
「ヘッドの重さを使う」から「クラブの重心を使う」へ。
少しずつクラブに対する考え方が変わっていきました。
子どもたちには「ブランコ」のように
振り返ってみると、私はジュニアを教えていた頃から、子どもたちに、
「クラブをブランブラン振ってみよう」
と伝えていました。
小さな子どもに難しい理論を説明しても、なかなか伝わりません。
そこで、
「ブランコみたいに振ってみよう」
という表現を使っていました。
力を入れてクラブを動かすのではなく、クラブの重さを感じながら振ってみる。
その感覚を分かりやすくするために、バスタオルを使った練習なども取り入れました。
このバスタオルを使った練習は、今でも私のレッスンで使っています。
当時は子どもたちに分かりやすく伝えるために行っていたことでしたが、私自身も学びを重ねる中で、少しずつその意味を深く考えるようになっていきました。
「クラブ全体の重さ」と考えてみたら?
そして、以前お話ししたバランスの先生に、再びお会いする機会がありました。
私は先生に、
「クラブはヘッドが重く、重心があります。その重心を使って振るということを考えているんです」
というような話をしました。
すると先生から、また違った視点をいただきました。
「ヘッドとか重心という一点を意識すると、そこに意識が偏りませんか?」
そして、
「クラブ全体の重さ、と考えてみたらどうでしょう?」
と言われました。
これは私にとって、また一つ新しい発見でした。
ヘッドを意識する。
次に重心を意識する。
でも、どちらもある一点に意識を集中させていることには変わりありません。
それを、
「クラブ全体の重さを感じる」
と考えてみる。
すると、ヘッドを自分で振ろう、動かそうという意識が、さらに少なくなっていきました。
学ぶたびに、考え方が少しずつ変わっていく
今振り返ると、私のスイングに対する考え方は、一度に出来上がったものではありません。
フランコ選手を見て、
クラブヘッドの動きに興味を持つ。
永井延宏プロの本から、
クラブの重心について考える。
そしてバランスの先生から、
クラブ全体の重さという考え方を教えていただく。
一つ分かったと思うと、また新しい考え方に出会う。
そして実際に自分で試してみる。
その繰り返しでした。
今考えると、私はずっと「正しいスイングの形」を探していたというより、
「どうすればクラブをもっと自然に動かすことができるのか」
を探していたのかもしれません。
そして、この「クラブ全体の重さ」という考え方の先で、私のスイングに対する考え方をさらに大きく変える出来事がありました。
ある日、友人とラウンドしていた時のことです。
友人が使っていた、当時としては新しいタイプのドライバーを打たせてもらいました。
それまで私が使っていたクラブとは、ヘッドの大きさや重心の位置、シャフトの重さやしなりも違うクラブでした。
そのため、
「強く振ったら、どこへ行くか分からないな」
と思い、いつもより軽く振ってみました。
ところが、そのボールは自分のクラブで打ったボールより、驚くほど先まで飛んでいました。
強く振ったわけではありません。
むしろ、力を抑えて振った。
それなのに飛んだ。
「なぜ、軽く振ったのにこんなに飛ぶんだろう?」
この経験から、私はクラブの重さだけではなく、シャフトのしなりやクラブそのものが持っている力について、さらに考えるようになりました。
そして、それまで学んできたことが少しずつつながり、
「遠心力を使って振る」
という考え方へと進んでいくことになります。
その話は、次回書いてみたいと思います。






