キャディをしていた頃、彼が母国へ帰っている時に、私自身が試合に出場する機会をいただきました。
キャディをしていたため、十分に練習ができていたわけではありません。
ただ、私の頭の中には、一年間近くで見続けた彼の流れるようなスイングのイメージが残っていました。
そして、もう一つ。
実はその日、私は少しお腹の調子が悪かったのです。
スタートしてからも、
「ちょっとお腹が痛いな」
ということの方が気になっていました。
ところが、プレーは不思議なくらいうまくいきました。
1番から6番まで6連続バーディ。
8番、9番もバーディ。
前半は28。
さらに10番でもバーディを取り、10ホールで9アンダーになりました。
お腹が痛かったことが良かった?
もちろん、お腹が痛ければ良いプレーができるという話ではありません。
今になって振り返ると、あの日の前半は、プレーそのものに意識を集中させすぎていなかったのだと思います。
お腹のことが気になっていたことで、
「バーディを取らなければ」
「良いスコアを出さなければ」
という結果への意識が、いつもより弱かった。
以前、バランスやビジョントレーニングを学んだ時に、
頑張ってバランスを取ろうとしすぎない。
見よう、当てようと集中しすぎない。
ということを教えていただきました。
今振り返ると、あの日の前半は、それに近い状態だったのかもしれません。
「これはすごいスコアだ」
ところが、10番でバーディを取って9アンダーになった時です。
私は自分のスコアを意識しました。
「これは、すごいスコアだな」
その瞬間から、それまでとは少しずつプレーが変わっていきました。
ショットが乱れ、入っていたパットも入らなくなりました。
当時の私は、
「メンタルの問題なのかな」
というくらいにしか考えられませんでした。
何年も経ってから分かったこと
その後、私はメンタルについて専門の先生から学ぶ機会をいただきました。
そこで学んだ一つが、**「結果意識」と「行動意識」**という考え方です。
結果を強く意識すると、
「良いスコアを出したい」
「バーディを取りたい」
「失敗したくない」
という、まだ起きていない結果に意識が向いてしまいます。
一方、行動意識は、
「今、自分がやるべきことは何か」
に意識を向けることです。
今振り返ると、28を出していた時の私は、結果をあまり意識せず、その時にやることをやっていた。
ところが、
「10ホールで9アンダーだ」
と気づいた瞬間、意識が「今やること」から「この先どうなるか」という結果へ移ってしまった。
あの日、自分の中で起きていたことを、何年も経ってから少し理解できるようになりました。
昔の経験が、後になってつながる
これは私にとって、とても面白い経験です。
その時には理由が分からなかった。
でも、いろいろな人から学び、経験を重ねることで、
「あの時のことは、こういうことだったのか」
と後になって分かることがあります。
バランスの先生から学んだこと。
ビジョントレーナーの先生から学んだこと。
世界で戦うプロを一年間見続けたこと。
そして、自分自身が28を出した経験。
当時は別々の出来事だと思っていました。
でも今振り返ると、少しずつつながっていたように思います。
そして私自身、今でも新しいことを学び、試し、失敗し、また考えることを続けています。
経験するから、疑問が生まれる。
学ぶことで、分かることがある。
分かることで、次にできることが増えていく。
ゴルフの面白さは、そんなところにもあるのかもしれません。





